アフター3・11のブログ論

アフター3・11のブログ論 (1/3)

2011~2012年のブログを回顧する上で3・11の東日本大震災は、欠かせないものでした。

今まで体験したことのない大災害は、新聞やテレビなどで到底追いきれるものでなく、多くのブログが貴重な生の情報を発信していました。

そのいくつかを見るなかで出会ったのが、今年の1位に選んだ『JKTS』です。
医療スタッフである作者が、現地での活動を通して感じたこと、出会った人への想いを綴っているのですが、こんなに心を揺さぶられたブログは正直初めてでした。
写真もない。イラストもない。ブログも用意されたテンプレートのもの。
でも、実体験を心のままに綴る。
それだけですが、とてもメッセージ性の強い内容になっています。

震災に関するエントリーは、「1、被災地へ。」から、始まります。
病院に勤務する作者は、医療チームとして陸前高田に赴きます。

3、赤い旗」と題されたエントリーでは、死体の発見されたところに立つ赤い旗。その前に佇むおばあさんの声に、作者は思わず涙します。決して涙を見せてはいけないと、きつく言われていたけれど......。

リーダーナースが飛んで来て私の耳を引っ張って車の陰に連れて行かれてすっごくおこられました。怒られようがもう自分は素直な感情でここでやっていこうと思いました。

すごく素直な吐露に、自分の感情がこのブログに強く流れ込んでいく気がしました。

2時間の睡眠。
圧倒的な物資の不足。
かわいいお友達との出会いと別れ。(「7、瑠奈チャン」)

そのすべてが、作者の目線で語られていきます。テレビでは衝撃的な映像とともに、この震災の現実が様々な形で報告されていました。でも、僕は、このブログで作者の目を通して見た現実がいちばん心に残った。

文字は雄弁です。
文字だけのブログであっても、多くの人に強い印象を残します。

あの震災を忘れてはいけない。そのためにも、ぜひ、このブログを多くの人に読んで欲しいと思うのでした。

このスゴブロでは、1位に選出したものに関してはインタビューをお願いしてきました。しかし、今回は、遠慮することにしました。
ブログの記事中に、出版のオファーがあり、それに戸惑う気持ちが綴られて、このままブログとして残すので、ここに見に来て欲しいといった旨が書かれていました。
気持ち、とてもわかります。
それに今回は、ブログを作った背景などを聞く必要もないと思ったので、この場において御礼を綴るに留めておきたいと思います。
あなたのブログで、多くの人が勇気づけられたことと思います。同じ日本人として、こんなにも献身的に体を動かしてくれた人がいたことを。こんなにも温かい心を持った人がいたことを誇りに思ったことと思います。
『JKTS』さん、どうもありがとうございました。これからもお仕事がんばってください。

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