ココロ社

ブログ界・大注目の偉才。本邦初のロングインタビュー!
「ポリシーですか? どこにもない切り口で、自前のコンテンツを作ることです」
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ココロ社インタビュー (3/4)

タイトルは短めに! はてなブックマーク攻略法

ココロ社さん近影2
ブログ内に「東大出身」と書いてあったので「本当ですか?」と訊いたら「僕は嘘は書きませんので」と微笑んでおられました

 さて、こうして渾身のネタの数々をアップするようになったココロ社さんだが、その苦心は記事を作りこむだけでなく、いかにすればアクセス数がアップするのか――こういった点にも向けられるようになっていった。
「せっかくですから、多くの人に見てもらいたいと思いアクセスアップのためにもいろいろ工夫するようになりました。例えば、記事をアップする時間を平日の夜・9時から11時にしているのもそのためですね」
 なんでも、読者がいちばん多い時間帯を摸索した結果、この時間になったという。
「また、この時間にアップしておくと、『はてなブックマーク』にも効果的なんです。だいたいアップして数時間のうちに5人くらいの人がブックマークしてくれると『注目のエントリー』に入ります。そして僕が寝ているうちに、夜更かしな人たちが『人気エントリー』に上げてくれる。そして、真面目だけど遊び心のあるサラリーマンの皆様が朝の9時くらいから人気エントリーにあがった記事を見てくれる。こんな循環で、たくさんの人にアクセスしてもらえるんです」
 とりわけ特別なジャンルを設定していないココロ社が、これほどまでに読者を獲得した背景には、記事単位で人気エントリーを抽出する「はてなブックマーク」に代表されるソーシャルブックマークの影響力が大きい。この点は、ココロ社さんも理解しているようで、「はてなブックマーク」(以下「はてブ」)対策なるものも行なっているようだ。
「『はてブ』対策で重要なのは、タイトルですね。まず、文字数は20字以内にします。あまりに長いと載り切らないですし、やはり短いほうがキャッチーですからね。あとは、お得感とか手軽さなんかをタイトルで演出するよう、心がけています」
 ココロ社の記事において、「はてブ」内でもっとも人気を集めたのが、「東京から45分で行ける日本屈指の清流地帯」なる記事なのだが、これもタイトルで読者を惹きつけた要素が大きいという。
「これは静岡県の三島にある観光スポットを紹介した記事ですが、タイトルの冒頭部を『東京から45分で行ける』としたのが効果的だったと思います。やはり『三島は日本屈指の清流地帯』よりも、このほうが手軽なお得感というのが、演出できますからね」
 事実、はてブの人気エントリーを見ていると、この「手軽でお得」という雰囲気のある記事は、実際に数多くのブックマークを集めている。
「料理の記事などは、その典型ですが、日記の延長という体裁の手料理記事は2usersくらい(ブックマークするのが2人くらい)ですが、『簡単に炒飯を上手く作る方法』のような手軽な料理術は500 usersなどと化けますよね。あとは、はてブの利用者には、技術者が多いので、アルゴリズムを解説したようなビジネス企画も人気。あとは、前向きな内容を、梅田望夫さんのようなオピニオンリーダーが書かれると、大きな話題になります()。それにNHKの『しゃべり場』的な恋愛記事とか、村上春樹的に日常を記したちょっといい話は人気ですよね。まあ、このあたりの記事は僕にはどれも書けませんが......」
 このように、ココロ社さんの「はてブ」で嗜好される記事傾向の分析には、余念がない。
「ただ、アクセス自体は、『はてブ』経由がそれほど多いわけではないんですよ。『はてブ』で人気になると、ニュースサイト系の人たちが取り上げてくれるから、アクセスが急増するんです」
 ニュースサイトとは、今、ネットで話題のネタを紹介しているサイトやブログなわけだが、まだまだソーシャルブックマークよりも、こういったところでネットの面白いトピックスを探す人のほうが多い。「はてブ」で人気になることは、ニュースサイトに拾ってもらうためには大切だが、「はてブ」受けだけを狙っても、ちょっと隔たりすぎてしまうという現状があるようだ。
「一般的な人気を考えると、強いのはやはりエロです(笑)。エロを面白く紹介すると、ニュースサイトの人も確実に紹介してくれるので、アクセスはグンと伸びます。以前『女性のワキの下を見て夜の生活を見抜く方法』という記事をアップしたのですが、これなんか15万アクセスくらいありましたね」
 ちなみに、この「ワキの下~」の内容は、骨董市で買った昭和27年発行の『デカメロン9月号別冊付録・色相性器判別図鑑』に掲載されていた「腋の下を見て性愛度を知る法」なる記事を紹介したもので、内容は面白いけど男性的な実用性は極めて乏しい記事。それでも15万ものアクセスを集めるわけだから「エロ」というパッケージの求心力は、やはりすごいものがある。
「あと、まぁまぁなのは、動物ですね。で、まったくダメなのは昆虫です。僕は虫の写真を撮るのが好きなので、昆虫がらみの記事をよく作るのですが、本当にダメです。昆虫はダメ」
 07年の7月19日にアップされた「羽化に失敗したセミの幼虫たちの写真集」なる記事がある(※7)。これは1カ月以上も、同じ公園を巡回して撮りためた写真たちが、巧みに紹介されているのだが、これも残念ながらあまり人気はないようだ。

※例えば「直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。」なる記事。1300人以上がブックマークしている。
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070317/